精神分析雑談：悲劇の不可欠さ

精神分析雑談：悲劇の不可欠さ

古代ギリシアの喜劇は，神話から遠ざかって現実の政治や市民の生活に取材を行っていたが，結局現実ではなくて恰も揺蕩う白昼夢らしい効果が見えできて，誇張こそ喜劇の効果を持つようになるからです。それと対照に，古代ギリシアの悲劇は，現実の出来事から遠ざかって神話に取材を行っていたが，喜劇のように泡沫らしい感じの様子は全然無くて非常に深く真実の事柄であると見えます。

それは，人間の生き生きとした感性が挫折やトラウマがいっぱいある現実に向かって，トラウマや辛さを克服したり克服してもらったりしなければいけないという境地で，トラウマや挫折の辛さを諸般の楽しみに統合してから，浅はかさを免れ感動や共感という人間性の深さを獲得してこそ，感性の発達が成熟で深い感じができるようになってくる。一方，人生はどうしても挫折と情緒的辛さに満ちており楽しみが得られやすいではなく大切に惜しむべきのが深い真相です。

以上のような事情の所以から，現実取材の喜劇が泡沫らしく影らしい遊戯のように見えていながら，神話取材の悲劇は逆に神話と人生に共通の辛さで悲劇としてこそ深い現実や人間の深い感じを迫真で伝えます。不幸や悲劇の重さを担えることが，心的発達の感性面の大切なことで，感情や情緒の繊細で多層な高級形態ではその重さを有能感で持ちながらコントロールできればこそ，自己心理学が指摘した至適なフラストレーションを「繊細で多層な高級形態」というもっと広い範囲の心的エネルギー揺らぎの参考系の下で実現し，「繊細で多層な高級形態」という複雑で中核的心理自己の積み上げて構築することを促します。