「性依存症」という診断は不十分だ
心理学や精神医学の診断において,現在では「性依存症」というカテゴリーは全く無かったり,そんな言葉もあまり使われていない。過去に性依存症と診断された「患者」を対象とした研究でも,ギャンブル依存症や薬物依存症の患者に起こった脳の構造変化と異なり,「性依存症」の脳の構造には普通のヒトとは異なった変化が見られなかったり,謂わゆる「性依存症」は離脱症状もなかったりし,主体が侵入されてコントロールされそうに不本意ながらも強く自己の両価性を引き起こす事情を要求するという依存症の状態に比べて,明らかに異なって対照的となる。そのため,精神医学の2大診断システムにおいて,DSM-5ならば性的依存症という用語は存在せず、WHOの2018年の新しい疾病診断基準であるICD-11で精神科の項目ならば,依存性行動障害の分類に性的依存症は含まれていない,衝動制御症群に「強迫的性行動症」というカテゴリーが残されているが,診断基準の要件満足は極めて厳しく要求されており,生活の中で他の興味を持たずに性行為を追求するばかり,あるいは「性行為を減らそうとする試みがうまくいかなかったり,常に追求する性生活において満足感がほとんどない」などの症状において,この性行為を減らしたいや満足感がないという苦痛が,道徳観念による判断や性的衝動に対する不満の自覚に基づいていれば性依存症だと診断されると十分に言えないと明記して,即ち十分に診断できる要件は殆ど存在しなさそうである。その結果、現在では「性依存症」という精神科の診断は非常に稀で、いわゆる性依存症という診断はほとんど無くなって使わないようになってしまった。実に,人間のそもそものセックスの本能は,原始部族のようにそもそも常にエロに楽しむのだ,性依存症そのカテゴリーの創設自体とは,初めてからエディプス・コンプレックスでの恐怖や僻目を帯びた印象的イメージに濾過されていたと言える。
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